金柑の葉に1mmの黄色い卵 — 正体はアゲハチョウ

更新日 2026年10月身近な生き物

金柑の枝の若葉に付いた小さな卵と、アゲハチョウの幼虫、飛び去るアゲハのイラスト

庭やベランダの金柑の木。新芽が出てきたころ、葉の先に直径1mmほどの、丸くて少し透き通った黄色っぽい粒が付いていることがあります。取っても取っても、次の日にはまた付いている。でも産みつけている親の姿は見たことがない……。

正体はアゲハチョウの仲間の卵

その粒の多くは、ナミアゲハ(いわゆるアゲハ)やクロアゲハなど、アゲハチョウの仲間の卵です。アゲハの幼虫は、ミカン、ユズ、サンショウ、そして金柑など、ミカン科の植物の葉を食べて育ちます。

  • 大きさは直径1mm前後のまん丸
  • 産まれたては淡い黄色〜黄緑色で、つやがある
  • 新芽や若い葉の先、裏などに、1個ずつぽつんと産みつけられる
  • 日がたつと色が濃くなり、ふ化が近づくと黒っぽくなる

親のチョウを見かけないのは、アゲハの母チョウが葉の上にほんの一瞬とまり、前あしで葉の味を確かめてから、ぽんと1個産んですぐ飛び去ってしまうからです。チョウは前あしの先で、その植物が幼虫の食べ物になるかどうかを「味見」しています。

新芽の季節に卵が増えるわけ

雨のあとに新芽がいっせいに伸びると、卵も一気に増えることがあります。生まれたばかりの小さな幼虫は、硬い葉よりもやわらかい新芽のほうが食べやすいため、母チョウは若い葉をねらって産卵します。新芽の時期が過ぎると、卵があまり付かなくなるのはこのためです。

幼虫はこんな姿

ふ化した幼虫は、はじめ黒と白のまだら模様で、まるで鳥のフンのような見た目をしています。鳥に見つかっても食べ物だと思われにくい、身を守るための姿です。何度か脱皮すると、目玉のような模様のある鮮やかな緑色の大きな幼虫に変わります。

つつくと、頭の後ろからオレンジ色の角(臭角)をにゅっと出して、独特のにおいを出すことがあります。これも身を守るためのしくみで、人に害はありません。

見つけたらどうする?

小さな鉢植えの金柑では、大きくなった幼虫に葉を食べつくされてしまうことがあります。木を守りたいときは、卵や小さいうちの幼虫を取り除くのがいちばん手軽です。一方で、何匹かだけ残して育つ様子を観察するのも、身近な自然を楽しむよい機会になります。大きな木なら、多少食べられても木が枯れることはあまりありません。

金柑のこと

金柑は中国原産のミカン科の植物で、皮ごと食べられる小さな実が特徴です。夏ごろから何度か花を咲かせ、冬に黄金色の実が熟します。花の少ない冬の庭を明るくしてくれ、甘く煮たり、はちみつ漬けにしたりと楽しみ方もいろいろ。実がなるまで長く付き合う木なので、ときどき肥料を足してあげるとよいとされています。その葉をアゲハの幼虫と分け合う、と考えれば、虫の卵探しも少し楽しくなるかもしれません。

参考にした主な資料

  • 日本チョウ類保全協会 編『フィールドガイド 日本のチョウ』(誠文堂新光社)